【医療機器 参入】まずは「製造販売業」と「製造業」の違いを知ろう

「製造販売業」と「製造業」の違いを解説した記事のアイキャッチ
石野 享
行政書士/元・総括製造販売責任者
歯科用医療機器メーカーで開発業務とともに総括製造販売責任者として体制の維持管理に従事

参入にかかるお悩み相談から、申請代行までワンストップでご対応します。

市場に責任を持つのが「製造販売業」、モノを作るのが「製造業」

薬機法は複雑ですよね。
「製造販売業」「製造業」この似た言葉だけでもややこしく感じる人も多いと思います。

医療機器への参入を検討されている方は、まずはこの違いさえ分かればビジネスモデルが決まります。
今回は、この2つの業許可の違いを、医療機器メーカーでの総括製造販売責任者の経験を持つ行政書士が、分かりやすく解説します。

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目次

医療機器の「製造販売業」と「製造業」の違いとは?

一言で言うと、製造販売業は「市場への責任の主体」、製造業は「つくる機能」です。

製造販売業で企画を行い、そのレシピに従って製造業で医療機器を製造し、製造販売業が市場へ出荷する流れが一般的です。
これを分かりやすく例えるなら、「製造販売業=本の出版社」、「製造業=印刷会社」の関係です。

以下で、製造販売業と製造業について詳しく解説します。

製造販売業:製品の品質・安全の最終責任者

製造販売業(製販)は、自らの名前で医療機器を市場に出荷し、品質や安全の責任を負う立場です。
具体的には以下の役割を担います。

  1. 市場への出荷判定: 適正に製造されたものかを確認して市場に出す。
  2. 製造所の管理: 製造業者が適切な手順で作っているかを監督する。
  3. 安全管理(GVP): 販売後の副作用や不具合情報を収集し、必要な対策を行う。
  4. 回収・是正措置: 万が一不具合が起きた際のリコールや再発防止策を行う。

つまり、自社工場を持っていなくても(ファブレス)、この「製造販売業」の許可があれば、自社ブランドの医療機器を世に出すことができます。逆に言えば、どんなに良い製品を作っても、この許可(または許可を持つパートナー)がなければ医療機器として販売することはできません。

製造販売業許可の区分取り扱える医療機器のクラス
第一種 医療機器製造販売業許可クラスⅠ、クラスⅡ、クラスⅢ、クラスⅣ
第二種 医療機器製造販売業許可クラスⅠ、クラスⅡ
第三種 医療機器製造販売業許可クラスⅠ

製造業:設計・製造を行う「つくる」専門家

製造業は文字どおり、医療機器を製造する立場です。
「製造」といっても、ゼロから完成品を作るだけでなく、以下の工程も含まれます。

  • 設計
  • 主たる組立て
  • 滅菌
  • 包装・表示・保管

これらは取り扱う医療機器によって変わります。

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製造工程医療機器
(右以外)
一般医療機器単体プログラム
医療機器
単体プログラム
医療機器の記録媒体
設計×
主たる組立て××
滅菌××
最終製品の保管×

ビジネスモデルで見る役割分担の違い

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項目製造販売業製造業
主な役割市場出荷、品質保証、安全管理設計、組立、滅菌、保管
法的地位許可(更新制)登録(更新制)
責任製品に対する最終責任を負う製造工程に対する責任を負う
販売先卸売業者、販売業者など製造販売業者

製造販売業、製造業以外にも、「販売業」「貸与業」「修理業」もあります。

製造販売業と製造業の許可要件とハードル

医療機器ビジネスに参入する際、最も高いハードルとなるのが「人的要件」と「体制要件」です。

人的要件

特に製造販売業では、「総括製造販売責任者」「品質保証責任者」「安全管理責任者」という通称「三役」の設置が必須です。これには理系大学出身で実務経験がある人など、厳しい資格要件があります。

「社内に理系がいるから大丈夫だろう」と思い込んで進めていたら、実は要件(修了課程や経験年数)が足りず、申請直前でイチから人探し…というケースも少なくありません。人材確保が難しい時代ですので、要件を満たす人がいるかどうか、行政書士などの専門家に早めに履歴書等のチェックを依頼することをお勧めします。

製造業では「責任技術者」と呼ばれる製造に係る業務を統括する責任者の設置が必要です。

体制要件

手順書(マニュアル)の作成や、運用体制の構築が求められます。

審査で行われる実地調査のときに、実態から乖離した手順書や人員では指導が入ることもあります。

また、許可後の運用では実態に即した体制の構築が、効率よく現場を回すコツとなります。
「形だけ作ればいい」ではなく「無理なく作る」ことが何より重要です。

自社はどちらを目指すべき?参入パターン別の攻略法

自社ブランドで市場に出たいなら「製造販売業」

自社のアイデアを製品化し、自社名で販売したい場合は「製造販売業」の許可が必要です。

工場(製造業)は自社で持たず、外部の認定工場に委託する(OEM活用)「ファブレス形態」での参入も増えています。

技術力を活かしてOEM供給するなら「製造業」

「精密加工技術がある」「クリーンルームがある」といった強みを活かすなら製造業を取り、既存の医療機器メーカー(製造販売業者)から製造を受託する道があります。

これなら、マーケティングや法的責任の重荷を負わずに参入できます(契約上の責任はありますが)。


輸入する場合に必要な許可は?

輸入する場合も「製造販売業」の許可が必要です。

海外メーカーは日本の許可を持っていないため、輸入する日本企業が「製造販売業」として責任を持って市場に出す必要があります。加えて、海外の工場を「外国製造業者」として登録する手続きも必要になります。

参入前に知っておくべき3つのリスクと対策

薬機法違反のリスクとコンプライアンス

無許可営業

故意に無許可で営業するのは非常に悪質ですが、知識不足から医療機器に該当するとは知らず無許可で市場に出す恐れもあります。

「多分大丈夫だろう」と自己判断せず、行政の判断を仰いでから事業を開始しましょう。

広告規制

医療機器の広告は「薬機法」「景品表示法」などの規制を受けます。
たまに明らかな誇大広告がされているウェブサイトを見かけ、こちらがヒヤヒヤすることもあります。

通報制度や課徴金制度などもあるため、規制を甘く見ず適切な広告をしましょう。

「広告」は、Webサイトやチラシ、カタログだけでなく、営業トークやセミナー・展示会などでの発言も対象になります。

医療機器の広告規制に関する教育訓練も非常に重要です。

許可取得のコスト

手数料は、申請先によって異なります。
参考に兵庫県と大阪府の費用を記載します。

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製造販売業 区分兵庫県 手数料大阪府 手数料
第一種医療機器製造販売業 許可申請150,000149,800
第三種医療機器製造販売業 許可申請132,000131,600
第二種医療機器製造販売業 許可申請95,00095,200
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製造業兵庫県 手数料大阪府 手数料
製造業 登録申請38,00038,000

ビジネスパートナー(行政書士・コンサル)選びの重要性

医療機器への参入は、単に書類を出せば終わりではありません。
「どんなビジネスモデルで参入するか」「誰を責任者にするか」「輸入か国産か」によって、必要な許可や戦略が全く異なります。

当事務所では、開発や経営コンサルティングそのものは行いませんが、「そのビジネスを実現するために、法的に最短・最適なルートはどれか」を提案し、複雑な申請手続きを代行します。

許可後には、許可の維持管理に係る法務相談により伴走者として末永くサポート致します。

「うちはどの許可が必要なの?」と迷われたら、まずは一度ご相談ください。

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まとめ:自社の強みに合わせた業許可の取得を

製造販売業も製造業もまずは責任者選びから!

「製造販売業」「製造業」とも責任者になれる人がいないと許可が取れません。
人材の確保から取り組んでください。

前述の通り、ビジネスモデルによって必要な許可が異なります。
記事を参考に準備を進めてください。

不安がある、時間がないなど、お困りの方はご相談ください。
初回は無料でご相談を受け付けております。

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この記事を書いた人

歯科用医療機器メーカーで設計開発に従事。
設計開発と同時に総括製造販売責任者も兼務し「品質管理」「製造販売後安全管理」の体制の維持管理を経験。

退職後、行政書士として中小の事業者のサポートを行う。

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